2020年の年末調整は、また一段と複雑怪奇な状況になります。
改正の内容は、検索すれば色々出てきますが、これらのページがわかりやすいです。

「令和2年分」年末調整の変更点と扶養控除等(異動)申告書の書き方まとめ|OBC360°|【勘定奉行のOBC】
2020年から年末調整の内容が大幅に変更され、扶養控除等(異動)申告書も様式が一部変更されました。今回は、令和2年度税制改正大綱で追加された税制措置も加え、「令和2年分」の年末調整における変更点と、扶養控除等(異動)申告書の様式の変更点についてまとめます。業務スタート期に向けて、今から準備しましょう。

日本クレアス税理士法人|コーポレート・アドバイザーズ 複雑化する年末調整-4つの税制改正内容(Vol.480) -
「平成30年度税制改正大綱」を受け、令和2年分の年末調整は控除額や申請様式などが大幅に変更され、それにより年末調整業務が例年以上に複雑になることが予想されます。 一方で、国税庁は年末調整業務の完全なペーパーレス化・電子化…続きを読む
いえ、わかりやすくても、わかりにくいです。そもそもの制度が複雑すぎて、どう説明してもわかりやすくはならないレベルです。「わかりやすく説明する」プレゼンの練習用(超ハードモード)にいいんじゃないですかね。
機会があれば、また詳細に書きたいと思いますが、いまは思いついたままに箇条書きにしてみます。
- 制度が複雑すぎる
- 政府が決めた複雑な制度の実務を企業に丸投げしている
- 実質的な、労働という法人税を政府に払っているようなもの
- 従業員の負担
- 複雑な申告書の作成という労力負担
- 十分に理解したうえで自分に有利な控除申告を行えない危険
- 誤った申告をしてしまい追徴などを課される危険
- 異様に詳細な個人情報を収集されるという負担
- 納税意識を撹乱され確定申告を忌避するよう促される
- 企業の負担
- なんの利益も生み出さない多大な事務負担
- 企業自身として本来不要な個人情報を管理させられるリスク
- チェック漏れによる行政からの各種ペナルティの危険
- 従業員との制度理解の差による不要なコンフリクト
- なぜか納税者同士で争わされるという不条理
- 従業員との関係悪化
- 労働モチベーションの低下
- システム関連費用
- 極めて高い改修費用・運用負荷
- 不具合によるミスのリスク
- 業務委託費用
- 専門家(社労士・税理士)等の費用
- 制度の複雑性そのもので得をするのはこの方たち
- 実現しない電子申請
- 国は電子申請の仕組みを整えたと言わんばかりの態度
- 実際は、保険会社や金融機関が控除(残高)証明書を紙で発行する限りペーパーレスにならない
- 証明書の電子化は義務化されていない
- 電子証明書発行という保険会社等の負担を手当せずお願いベース
- 手続の登場人物を軽視し、税収額にしか興味を持たない国の怠慢
- 政府システム仕様の公開が遅く民間の給与系システムベンダーの対応全く間に合わない
- 形だけ作って実効性を何も考えていない
- なぜなら、税収の金額に関係のない、手続分野だから
- 中途半端なまま放置されているマイナンバーと同じ
政府が決めた制度なんだから、政府が徴税してください。自分たちが担当しないから、わけのわからない制度を作れるんでしょう。
利益を生まないストレスのために、従業員の労働力を不当に消費し、企業活動の重しになり、両者の関係やガバナンスにも悪影響を及ぼし、生産性を低下させています。
これから年末調整のお手続きをする従業員の皆さん、とても面倒な作業お疲れさまです。わけのわからない作業に不満をお持ちと思います。ただ、悪いのは政府であって、会社の給与・税務部門ではありません。
給与・税務の担当者は、従業員の皆さんと同じかそれ以上に不満と怒りを感じている、同じ被害者です。敵を間違えないでください。
従業員の皆さんのいらだちは、確定申告で思う存分ぶつけてください。
(税務署も、現場の臨時の方や末端の職員も、大いに不満で苦労していると思いますが)
参考: 「配偶者控除」の書類、なぜこうも面倒なのか
https://toyokeizai.net/articles/-/248505
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