【おすすめ】NISAは配当目的に使わないほうがいい【つみたて】

「NISAとは?」
「NISAで何に投資をすればいい?」

ここではリタイアを目指すに当たって、NISAの利用方法を考えます。

  • NISA制度の概要と利点・注意事項
  • つみたてNISAと一般NISAのどちらを選ぶか
  • NISAでどう投資すればいいのか

ということを説明します。

NISAの概要と利点

NISAは(Nippon individual savings account; 少額投資非課税制度)とは次のとおりです。Nipponなのは、Japanにするとジーサとなって爺さんみたいだからですかね👴ニーサでも兄さんですが。

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。

金融庁 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
税金はないほうがいい

注意点

期間と金額が限定されています。「少額投資」ということで、あまり大きな資産を作ることには向いていません。

損失が出たときに損益通算できません。課税口座と比較すると、利益が出たときは得ですが、損失が出たときは若干損です。

損益通算とは
損失が出たときに他の利益を相殺して、利益にかかる税金を減らすことです。また、利益が小さくて損失で相殺しきれない場合には、損失の繰越控除といって、残りの損失を最長3年間繰り越して控除することができます。

つみたてNISAは悠長すぎる

NISAには、一般NISAとつみたてNISAがあります。どちらかしか選べません(年単位で変更は可能です)。

一般NISAつみたてNISA
非課税枠年間120万円年間40万円
非課税期間5年間20年間
投資対象個別株式(外国株も)・投資信託など金融庁が認めた一部の投資信託だけ
その他5年満了でロールオーバー可能買付は定期自動積立のみ
一般NISAとつみたてNISA

どちらを選べばいいのでしょうか。リタイアを目指して投資をするのであれば、明らかに一般NISAを選択すべきです。つみたてNISAは買付のタイミングや投資対象の自由度が低いです。なによりあまりにも年間の枠が小さすぎます。

一般NISAは120万円×5年間で600万円、つみたてNISAは40万円×20年で800万円となるので、つみたてNISAのが多く見えます。しかし、枠をフルに使うまでに20年間というのは、早期リタイアを考えるにはあまりにも長過ぎます

それに、非課税効果を「金額×年数」で測るとして、20年間で比較すると↓のようになって、合計の非課税効果でも一般NISAに軍配が上がります。

非課税効果の金額*年数

ただし、これは現行制度がそのまま20年続いた場合の仮定です。後述の制度変更で、特に一般NISAの今後は不透明なため、考え方のご参考まで。

NISAは配当目的で使うのは得策でない

リタイアのための投資をする場合は、生活費にあてる収入としての配当獲得と、資産規模を拡大させる値上がり益狙いという2つの目的があります。

兄さん
兄さん

配当に20%も課税されるんだから、非課税になったらすごくいいじゃん

そうではありません。配当に対してかかる約20%の税金を節約する目的で利用するのは、120万円の枠では効果が小さすぎます。税込み5%の利回りの配当に対してかかる20%の税金は、投資額のわずか1%にすぎません。

たとえば、株価2,000円の銘柄を100株つまり20万円分買います。5%の利回りで配当が1万円が支払われる場合、課税されると8,000円ですが、NISAを使えば1万円がそのままもらえます。節約できる税金は2,000円です。

配当の非課税化で使うには枠が小さすぎる

20万円の投資をして、たった2,000円の効果しかありません。これでも、5%という相当な高配当の場合です。わずか1%の利益底上げ分なんて、1日の株価の動きで簡単に吹き飛んでしまいます

生活費全額を配当でまかなえるような数千万円分の非課税枠があって、1%でも数十万円の節税とできるのであれば、リタイア年齢を直接引き下げられるくらいのインパクトだったのですが、いまのNISAでは非課税枠の桁が一つ小さいのです。

NISAは値上がり重視で使おう

なので、NISAは値上がり益を追求する投資で使うべきです。こちらの節税効果は理論上は無制限です。

同じ例で、株価2,000円の銘柄を100株つまり20万円分買ったときに、これが5%分2,200円に値上がりして売却した場合の節税効果は、同じ2,000円(節税効果1%)です。

しかし、50%値上がりした場合には20,000円(同10%)、株価が倍になれば40,000円(同20%)にもなります。この利益ブースト効果は大きいです。

もちろん、それほどの上昇はしない可能性のほうが高いので、その場合にはNISAのメリットを享受できないことになります。しかし、配当だけでリタイアを目指すのはかなり困難であって、投資で実現するには値上がり益を狙う必要があります。

であれば、値上がり益を狙う投資をする際に、NISAを利用するのが合理的です。

値上がり益がないと投資だけでリタイアは厳しい

しかし、値下がりしたときには前述のように損益通算ができないため、通常の課税口座での取引より少し不利になる点は注意です。

にいさん
にいさん

まれな大勝で利益ブーストかかって、
負けたときに若干不利になる。…え?

こう考えると、NISAというのは初心者用の制度に見えて、十分にメリットを得ようとすると、投資のリスク(利益と損失の変動幅)を拡大する働きがあるといえます。ちょっと意外かもしれません。

ロールオーバーで複利の利益を非課税化できる

勝っている(含み益が出ている)ときのメリットは、非課税期間満了時に、その時点の時価でロールオーバーできるということです。120万円の投資額が年5%上昇した場合には、5年経過後に153万円になっています。これをそのままロールオーバーすれば、10年経過後には195万円になって、この利益75万円は非課税です。

新規投資では120万円までしか投資できないのに比べて、ロールオーバーによって、それより大きな額で次の5年を始められます。複利を継続的に味方にして拡大した利益が非課税になるという効果があります。

NISAは小規模でリタイアの中心戦略にはならない

ただ、NISAは規模が小さいです。金額も年額120万円で、期間も5年しかありません。なので、NISAだけでリタイアに十分な資金をつくることはできないということは、念頭に置いておく必要があります。

具体的なスタンスとしては、その年に売られすぎた銘柄をNISAで買っておいて、うまく回復したときに、大きな値上がり益が非課税化されるのを期待する、ということです。これによって、リタイア後の資金の足しになります。投資のメインは課税口座で行って、うまくいったときにNISAが助けになる、というくらいのイメージです。

うまくいけばNISAが助けになる

【注意】新NISAでまた訳わからなくなる!

上記は、現行の制度を元にした机上のシミュレーションです。実は2024年から、わけのわからない新NISA制度が始まって、一般NISAの非課税枠の一部が投資信託に限定されるようです。なので、一般NISAの20年後までを正確にシミュレーションするのは難しいです。

税制は本当にすぐ複雑化したがりますが、本当に悪癖です。そもそもNISAは、投資の裾野を広げるための制度だったはずなのに、政治的な妥協の積み重ねでわかりにくくなり、ハードルがあがって完全に本末転倒です。

ふくざつ

初心者保護のために個別株ではなく投資信託を買わせようという建前だと思いますが、個別銘柄を選択することは投資の本質ですし、その難しさより、NISA自体の複雑な制度を理解することのほうがよほど面倒で無意味です

この新制度も2028年までとなっていますが、こう頻繁に延長や制度改正(改悪)が続くのは、投資家の最も嫌う不透明感そのものです。

それに、制度が複雑だから、デジタル化も進まないんです。複雑な制度をそのままシステムで再現しようとするから異常に高額なコストがかかります。スムーズにシステム化できるかどうかを制度設計段階で十分に考慮しなければいけません。複雑な制度を複雑なままに人間の能力だけで遺漏なくカバーできることが優秀とされていた旧時代の発想から、いいかげん意識を改めなければいけません。

ぶたぞう
ぶたぞう

複雑化するだけなら🐷でもできます

ありがとうございました。ぼくの制度理解に誤りがあるかもしれません。投資は全て自己責任でお願いします。

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