「NISAのロールオーバーとは?」
「ロールオーバーのメリット・デメリットは?」
「リタイア資産形成でNISAはどう考える?」
マネックス証券から「ロールオーバー移管依頼書」(非課税口座内上場株式等移管依頼書)が届きました。NISAの非課税期間終了なので、ロールオーバーするか選べ、ということですね。

2016年にNISAで購入した、コマツ・三井物産・AT&Tですね。At&Tは先日も買いましたが、もうNISAで買ったものも5年経ってるんですね😌
ちなみに、ぼくはメインではSBI証券を使っていますが、米国株とNISAはマネックスで取引をしています。証券会社も念の為に分散したかったのと、開設時点ではマネックスの米国株手数料がとても安かったからです(今は比較すればそうでもありません)。
ロールオーバーとは
ロールオーバーとは、一般NISA口座で購入した株などが5年の非課税期間の終了をむかえるとき、翌年の非課税枠を使って一般NISA口座に移管し、さらに5年間、非課税期間を繰り延べることです。
ロールオーバーをするかどうかは投資家の自由です。ロールオーバーを行わないときは、特定口座(解説していない場合は一般口座)に移管することになります。
どちらがいいのか、リタイアを見据えた長期投資で資産形成を行う上でのメリットとデメリットを考えます。
ロールオーバーのメリット・デメリット
メリット
そのまま継続して10年の非課税運用ができる
時価が120万円を超えていてもすべて非課税枠と扱える
非課税期間をそのまま5年間延長することができるのは、単純にメリットです。
また、新規投資では1年間で120万円の枠しかありませんが、ロールオーバーする場合には、その時点で評価額が120万円を超えていてもすべてを非課税とすることができます。とても大きいメリットです。たとえば、今後5年間に年5%上昇した場合、元が120万円と150万円では、5年間で課税対象額に10万円以上の差が出ます。
デメリット
手続きが面倒
翌年の非課税枠を使ってしまう
証券会社がそのまま継続される
つみたてNISAへの切り替えができない
損益通算ができない
単純に書類を送り返すという手続きが面倒です。手続きを取らなければ、ロールオーバーされず、特定口座に移管されます。
また、ロールオーバーした場合には、その時の時価で翌年の非課税枠を使用してしまうので、翌年は新しくNISAでの投資ができる余地が減ってしまいます。また、同じ証券会社をそのまま使うという選択になりますし、つみたてNISAに変えることもできなくなります。
損益通算ができないのは、ロールオーバーのデメリットと言うかNISA自体のデメリットですね。
損益通算とは
損失が出たときに他の利益を相殺して、利益にかかる税金を減らすことです。また、利益が小さくて損失で相殺しきれない場合には、損失の繰越控除といって、残りの損失を最長3年間繰り越して控除することができます。
リタイアプランとNISAロールオーバーの考え方
基本的にはNISAは値上がり重視の投資で利用すべきものなので、その目的に合致しているかを点検する機会とするのが良いと思います。
NISAは利益が出たときには、利益の額に応じてメリットが大きくなりますが、損失が出たときは損益通算できない分が少し不利になるという仕組みです。そのため勝率ではなく、勝ったときの利益の大きさで見ることが重要です。
その視点で、当初期待していた値上がりの芽がまだあるかどうかを点検して、まだ可能性があるならロールオーバーすべきということです。5年間は利益を育てきるほどに長くはないですが、中・長期で期待していた値上がりが起こってもおかしくはない程度の時間です。経営陣が変わっていたり、環境の変化が起きていることもあります。当初、値上がりを期待した要素が、まだ健在で時間がかかっているだけなのか、もはや時間の経過でなくなってしまったのか、見直すいい機会です。

さらに、リタイアプランとの整合性をよく検討する必要があります。リタイア予定年齢が近づくにつれて、値上がり重視のリスクは徐々に減らしていくことになります。なので、大きく勝てる可能性を今後また5年間追い続けるのはやめて、安定して成長しそうなものや(節税効果は僅少ですが)配当重視にするなど、投資方針を切り替えるタイミングにもなります。
ただ、NISAは年間120万円の5年間で規模が小さく、リタイアプラン全体を左右するほどの影響はありません。節税効果はせうぜう数万円から数十万円です。たとえば、NISAで集中投資した1銘柄が10倍に値上がりして数百万円の節税ができるなんてファンタジーです。長く株をやっていれば10倍株に出会うこと自体はありますが、それはたくさん買った銘柄のうち極少数が10倍株になるというものです。たまたまNISA枠で買っていたものが10倍株になるというのはまず無理です。
含み損が出ている時はロールオーバーしたほうがいいかも
含み損が出ている場合には注意が必要です。これはぼくが去年、実際にやってしまったミスです。
含み損のまま特定口座に移管した場合
もとの取得価額より下がっている(含み損)場合、ロールオーバーをせず特定口座に移管されると、下がっている今の時価が取得価額となります。
たとえば、120万円で買った株が70万円になっているとします。この状態でロールオーバーせず特定口座に移管すると、その時点で取得価額が70万円になります。ここから元の120万円まで値を戻したところで売ると、50万円の利益が出たとみなされて、10万円近く税金が持っていかれます。

つまり、NISA口座を経由したことで、同じ金額で買って売っただけなのに、課税されてしまうのです!

ぼくも2020年末、気付かずにやってしまいました。まだ売っていないですが、一部含み損のまま特定口座に移して、そのあとなんと一時ストップ高になるという裏目振りに泣きました😂
しかし一方で、上記の例で言えば、株が120万円に回復せず、逆に更に下がって30万円になったところで売った場合は、今度は40万円(70万-30万円)の譲渡損失が発生します。これは損益通算することができます。
含み損をロールオーバーした場合
逆に、同じ状態でロールオーバーをすれば、70万円が120万円に戻したところで課税はされません(それ以上に上がっても非課税です)。
一方で、70万円が30万円に更に下がった場合には、譲渡損失を他の利益と通算して税金を減らすことができません。
結局、得なのか損なのかは、移管(ロールオーバー)後に上がるか下がるか、という当たり前のことで決まります。
ただ、心理的には、特定口座に移管した場合に、もとの価格に戻っただけで課税されるというのは、結構ショックです。更に下がったとして「損益通算できるから損が出ても嬉しい!」とはならないでしょう。完全に投資の失敗なのですから。

今回ぼくはどうするか?
今回満期をむかえる銘柄は、幸運にも含み益の状態です。120万円の投資に対して、140万円になっています。なので、あまり神経質に考える必要はありません。単純に、今後値上がりが期待できるかということで判断します。

ただ銘柄を見てみると、今回のコマツ・三井物産・AT&Tは、配当も両睨みで買っていたようです。NISAは値上がり重視で使うべきと言っておきながら、すいません。その年に値上がり期待できる銘柄が現れなければ、枠を余らせるのはもったいないので、配当狙いの投資でもNISA枠から優先して使っていくので、こうなってしまいます😅
今回は、手続きが面倒なのと、いまはコロナ回復の出遅れ銘柄の値上がり期待で新しく購入をしていきたいので、ロールオーバーせずに特定口座に移そうと思います。
まあ、最初の2014年からNISAを使っているので3回目ですが、いままでロールオーバーしたことはないんですけどね😄
ありがとうございました。ぼくの制度理解や解釈に誤りがあるかもしれません。すべて自己責任でお願いします。
コメント
[…] […]