こんばんは、ぶたぞうです🐷
東京女子医大が、6年間で1,200万円の学費値上げをするそうです😲
「お金持ちではないと医師になれない」
「医師になればお金持ちになれるのか?」
そんな疑問がわきますが、ここでは、前回紹介した書籍『FIRE 最強の早期リタイア術最速でお金から自由になれる究極メソッド』に従って、私立の医学部進学をどう考えるか、一例を紹介したいと思います。
この記事では、
- 私立医学部に進学することは経済的に良いのか
- 私立医学部の学費をどう考えるか
ということを考えてみたいと思います。
医学部の学費は高いのか?
まず、医学部の学費は高いのかを考えます。医学部と言っても私立と国公立ではまったく違います。
私立医学部は高い
私立大学の医学部の学費は非常に高いです。6年間で2,000万円から5,000万円近くかかります。
住宅ローンをもう一つ抱えるようなもので、一般的なサラリーマン家庭には手が出ない水準に達しています。なので、親が医師である家庭を中心に、実質的に階級が固定化されていると言えます。
ただし、奨学金を1,000万円程度まで目一杯借りることは可能なので、2,000万円程度の私立に行けば、高収入のサラリーマン層であればギリギリと言う感じです。しかし、卒業時点で多額の負債を負った医師生活のスタートになります。周囲のお金持ちの同級生との格差を感じることは多いでしょう。

国公立大学の医学部は格段に安い
国公立大学の学費は安いです。他学部と一律の設定ですので、就学期間が他学部より2年間長くても、6年間の総額で350万円程度です。しかし非常に人気が高く、極めて高い学力が要求されます。
特殊な医学部(産業医科大学、自治医科大学、防衛医科大学)
さらに実質的な学費が安い特殊な大学もあります。ただし、卒業後の就労先に制限があるという負担付きです。もちろん非常に人気で倍率は高いです。
海外の医学部という選択肢
海外の大学の医学部を出てから、日本の医師国家試験を受験して、日本の医師になるという道もあります。ただし、旅費・海外での生活費・語学の壁など単純な比較は難しいです。しかし、医療の多様性という意味で、有為な人材になり得ます。

私立医学部への進学は経済的に得なのか
それでは、今回話題になった東京女子医大のような私立の医学部に進学することは、経済的に得なのでしょうか。医師が高収入であるとはいえ、学費の高さと釣り合っているのでしょうか。
学位が職業につながる場合、前に紹介したFIREで説明されているPOTスコアは一つの指標になります。
POTスコアとは
『FIRE 最強の早期リタイア術最速でお金から自由になれる究極メソッド』で紹介されているPOTスコアとは、次のようなものです。
POTスコア (Pay -over-Tuition Score)
A: 期待年収の中央値と最低賃金の差額
B: 学費
を比べて、AがBの何倍であるかを比べたものです。(POTスコア=A/B)
つまり、簡単に言えば学位のコスパを示したものです。
著者は大学の専攻の選択にあたって、自分の興味のあるライティングではなく、POTスコアを基準にコンピュータ・エンジニアリングを選んだというものです。(「何一つ後悔していない」)
挙げられているのは米国の例で、州立大学の前提ですが、医学のPOTスコアは高くありません。学費が、合計248,786ドル(約2,500万円)で、期待年収が208,000ドル(約2,200万円)、POTスコアは0.78でした。
学費は日本の私立医学部とそう変わらない水準ですし、期待収入は日本より高めと言えるでしょう。それでも、この0.78は高くありません。しかし、医学のコスパは、配管工の5.14はもとより、コンピュータ・エンジニアリングの2.81、会計の1.83に及びません。

年収は非常に高いですが、それ以上に学費が高いです。元が取れないとはいいませんが、割のいい選択ではないと言えます。このPOTスコアはあくまでも割合の話であって、とにかく効率ではなく高年収を得たいなどという場合には必ずしも適切ではありません。万能ではないですが、一つの考え方としては十分参考になります。
高い学費は悪いことか
ここからは、私立の医学部の学費が高いこと自体についての考えを書きたいと思います。個人的な意見です。
国公立大学の医学部がある
まず前提として、金持ちしか医師になれない社会は絶対に駄目です。これは議論の余地はありません。お金がなくても、志と能力のある者が医師になれる道は絶対に必要です。
その点、日本には多くの国公立大学の医学部があり、道は確保されています。高い学力が求められますが、奇跡と言うほどのものではなく、実質的に機能しているキャリアパスです(定員はおよそ国公立5,500人、私立4,000人)。
すべての医学部を国公立化して学費を下げるべきか?
安易に考えつきます。実際に病院経営のコストは高く、経営の負担は大きいです。私物化して放漫経営を行っている私立医学部・病院は一部あるとは思いますが、国公立のほうが私立より効率的な経営をしているということは一般的にはありえません。結局は、今以上の費用を税金で支えることになります。高等教育をすべて国が負担するというなら、考え方としてはありかもしれませんが。
高い学費によるブランド
ブランドは職業倫理の向上という側面もあるし、逆の側面もあります。
誰でもつける職業ではないという社会的な高い地位は、一般的には倫理観の向上につながります。人は尊敬されないとずさんな行動に走りやすいという面はありますし、優秀な人材を引き寄せる効果もあります。

一方で、高すぎるプライドや選民意識は、特に金銭面での不正や市民感覚との乖離を招くことも、もちろんあります。
世襲化の効果
実質的に世襲されることで、地域医療が安定的に継承されることや、医療資産を次の代がゼロから作るのではなく、家庭内で引き継がれるという社会的なコストの面でのメリットもあります。
一方で、費用や情報・資産の面から、医師家庭以外から医師を目指すことが困難であると認識されれば、優秀な人材を取り入れる大きな障害になり、社会にとっては大きなマイナスになります。

また、同じような人間ばかりが集まって、世代を超えて既得権益化すれば、時代にあった改革への抵抗勢力となりやすいです。(オンライン診療への抵抗が記憶に新しいです)
医学部の相対化へ
上記で見たとおり、私立の医学部はキャリア選択としては、コストパフォーマンスは悪いです。
おそらく今回の学費値上げで驚きと憤りを覚えた方は多いと思いますが、これが富裕層への負担増であると考えればどうでしょうか。今回の値上げ自体は異常なことで僕は賛成はしていませんが、勉強のできない子どものために高い金を出させられているのだと思うと、なんとなく哀れな感じすらします。
結局のところ、実質的な弊害は、学費をあげることで倍率がさがって、金持ちのバカ息子・バカ娘が医者になりやすくなることで、心情的に反発を覚えるのは、格差を改めて認識させられたことなのかな、と思いました。
医学部は日本の学位で唯一、社会的地位と高い収入を伴う職業が約束されています。なので、入り口の議論だけではなく、職業としての競争環境や評価のあり方も含めて検討することが必要だと改めて感じました。開かれた社会全体の議論を深めるためにも、もっと冷静な目で見ていきたいと思います。
医学部人気を冷静に見よう
- 国公立の医学部や奨学金があるから決してお金で医師の夢をあきらめないでほしい
- 世間は医学部・医師という職業への盲信を改めるべき
- 大学は他学部の魅力底上げして、業界間の競争原理を機能させることが必要
- 勉強ができるから医学部なのか、金持ちだから医学部なのか?
とりとめのない内容になってしまい申し訳ございません。お読みいただきありがとうございました。
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