「毎月の収入が、気がつくとなくなっている」
「特に贅沢をしていないのに毎月トントンの家計になってしまう」
「借りたお金があっという間に消えてしまう」
「もっと収入が増えないと貯金できない」
多くの人が同じように悩まれていると思います。「あるだけ使う」生活が続いている場合に、その危険性はなんなのか、そして脱するための方法について解説します。
- 「あるだけ使う」の3つの絶望レベル
- 「あるだけ使う」を脱する方法
自己紹介🐷
お金を増やして仕事をやめるために、新卒就職後は実家暮らしで手取りの7割以上を貯金・投資にあてる節約生活を9年続けました。いまはその元手が投資で大きく増えて、早期リタイアへの道を進んでいます。
「あるだけ使う」の「ある」とは?絶望レベル診断
「あるだけ使う」生活の何がまずいのか、同じようでいて、いくつかのレベルがあるので、詳しく説明していきます。それにあたって、お金が「ある」という量を測るために、フローとストックという考え方を使っていきます。
フローはお金の流れです。たとえば、毎月の給与はプラスのフロー、家賃はマイナスのフローです。
ストックはお金の蓄積です。たとえば貯金額です。プラスのフローがあればストックは増えて、マイナスのフローはストックを減らします。
これを意識して「あるだけ使う」の「ある」は何を指しているのか、考えてみます。
Lv.0 毎月の給与の一部だけを使う
「あるだけ使う」わけではない黒字家計では、給与収入のうち一部だけ使って、それ以外は貯金に回ります。フローとストックでいうと、プラスのフローでストックを増加させます。
LV.1 毎月の給与が「ある」だけ使う
給与収入の一部だけではなく、毎月の収入が「あるだけ使う」と、貯金に回るはずのお金の流れ、プラスのフローを停止してしまいます。「あるだけ使う」という言葉で、一般的に想像される生活で、実際にもこの状態の人は多いと思います。

このレベルでは、蓄積されない(ストックが増えない)ので進歩はありませんが、毎月の給与が継続される限りは現状維持が可能です。しかし、いつもどおりのペースでお金を使っていたときに、加えて突発的な支出が発生すると、簡単にLv.2の門が開きます。
LV2. 貯金が「あるだけ使う」
さらに、給与収入でまかなえないほど支出が増えると、貯金に侵食していきます。貯金がなくなれば、次は物に及び、家にある換金できる物を売って消費に向かいます。貯金や物が「あるだけ使う」レベルです。
貯金や換金物は過去の自分の成果です。これらを使ってしまうと、すでにある蓄積(ストック)を新たに外に放出するお金の流れ、つまりマイナスのフローを発生させます。
このレベルでは、進歩しないどころか徐々に人生が後退していきます。

貯金額は当然有限なので、同じ支出が続けばいずれは底をつきます。ここでそれ以上の支出増にならずに踏みとどまれば、貯金ゼロの毎月の収支ゼロというギリギリでも限界状況で一応は生活可能です。ただし、突発的な支出や一時的な収入減などの突発事態にさらに脆弱になり、次のレベルに転落しやすくなります。
LV3. 借入限度額が「あるだけ使う」
貯金や換金だけでは足りず、そのまま支出を増やすと借金に手を出すことになります。消費者金融・キャッシングの利用限度額が「あるだけ使う」レベルです。借金に慣れてくると、利用限度額が自分の貯金額や生活余力のように感じられるようになります。末期です。
借入は一時的にプラスのフローを発生させますが、利息を含む返済によって将来に大きなマイナスのフローを発生させる効果があります。借金は、毎月の返済によって、いまあるお金ではなく未来の収入も減らしていくということです。
さらに、借金の返済・利息は、浪費するといった行動によって発生するのではなく、借金の存在そのものが発生させるマイナスフローです。この状態に至ってから、いくら倹約をしていても、借金があるというだけでお金が流出し続けます。ギリギリの均衡を保っているつもりでも、破綻は時間の問題ということも多いです。

このレベルでは、単に支出を止めただけでは元の状態に復帰することはできないため、債務整理・個人破産といった外科的な措置が必要となることも多いです。
あるだけ使う生活は、いつまでも続けられるか?
「あるだけ使う」生活は、毎月の給与分を使い切るレベルであれば、まだ大きな問題にはなりません。特に、突発の支出を貯金でまかなうことができていれば問題は表面化しません。「良くないな」とは、思いつつも切迫した危機感を持っていない場合も多いと思います。
ただし、この生活は収入がずっと継続することを前提にしているため、病気や怪我・リストラなどで収入が途絶えた場合は、一気に転落する危険があります。長年にわたってこの生活を続けていれば貯金も多くないでしょうから、あっというまにLv.2やLv.3に至る可能性があります。
また、不意の事態が起きなくても、いずれは老後がやってきます。現役時代に収入をすべて使い続けてストックを持っていなければ、激減した収入(年金)だけで生活する必要があります。

退職金でなんとかなるから
その考えは甘すぎます。何十年も、入ってきたお金をすべて使うってきた人が、その大金を浪費せずにいられるとは到底思えません。

「あるだけ使う」生活を続けているとしたら、たまたま運良くうまくいっていて、転落の危険の縁にいるのだという認識を持つことが必要です。
「あるだけ使う」なら「なくしてしまう」で解決
「あるだけ使う」の危険性がわかったとしても、いきなり節約生活を始めて継続していくことは、自分の意識改革だけでは非常に難しいです。ですので、意識をしなくても実現できる仕組みを作ることが重要です。
Lv.1の「あるだけ使う」から脱する仕組みは簡単です。「ある」をなくしてしまうことです。ないものは使えないからです。つまり、先取り貯金です。
先取り貯金とは
給与から使った後の残りを貯金するのではなく、最初に貯金をしてその残りを使って生活することです。給与天引きの財形貯蓄、自動積立預金、口座の使い分けなどの仕組みが利用できます。
先に貯金をしておけば、確実に貯金増は確保できます。自分の生活の意識としては、最初から貯金分はなかったものとして、「あるだけ使う」で構わないのです。

逆に言うと、先取り貯金の仕組みを作っておかなければ、どれだけ収入を増やしても、どれだけ効果的な節約をしても、意味がありません。せっかく増えた収入や浮かしたお金もすべて使ってしまうのですから。
お読みいただきありがとうございました。先取り貯金は投資に回すのがさらに有効です。
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