【比較】持ち家VS賃貸はなぜ結論が出ないのか【どっち】

「賃貸と購入はどちらが得?」
「家賃を払い続けるのはもったいない?」

この議論は何十年も盛り上がり続けています。解説もすごい数があります。持ち家を推す人も、賃貸を推す人も両方います。なぜ議論に決着がつかないのでしょうか。

経済的には答えが出ている

実際のところ、経済的には結論は出ています。賃貸です。

もちろん、個別のケースでは持ち家の方が経済的に得だったということはありえますが、一般的なリスクを加味すれば賃貸が優れています。

詳しく解説しているものはたくさんありますので、ここでは詳しくは立ち入りません。先日紹介した『FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』でも、「家は最悪の投資」と非常に具体的に説明されています。

賃貸が経済的に優れている点、というか持ち家のデメリットは、細かいことはいろいろありますが、最も大きいのは次の2点です。

  • 購入は家の価格以外のコストが大きいこと
  • ローンを組み、不動産を所有することは柔軟性を損なうこと

有力な傍証として、「持ち家派」の議論は、不動産業者・ハウスメーカー・金融機関という、家を売りたい立場の人間からのものが多いことです。

「正解」は悩みの解決にならない

なぜこの議論が終わらないのか。それは、複雑・不確実でなんとでも言えるという性質と、より根本的には「正解が求められていない」ということにあります。

どちらにもメリットとデメリットがたくさんある

賃貸にも購入にも、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらかにメリットしかないということはないです。

比較方法は一通りではない

そのため、総合的に比較をするのではなく「家賃vs.返済額」のような、要素の一部だけを切り取って比較した記事は非常に恣意的です。切り取り方次第で、いくらでも異なる結論を導くことが可能です。

「家賃vs.返済額」
→返済額のほうが安い!購入すべき

「家賃vs.返済額+金利」
→金利を考えれば家賃のほうが安い!賃貸すべき

「家賃vs.返済額+金利-売却価格」
→売却価値を考えればやっぱり安い!購入すべき

といった調子です。

さらに、議論を複雑化させ曖昧にしているのが、住宅問題は数十年先の不確実な未来の試算である、ということです。なので、楽観シナリオから悲観シナリオまで、書き手による極めて大きな乖離が発生します。

なんとでも言えて、どれもそれなりに説得力があるように思えるから議論が収束しません。

買わせたい人

なんとでもそれっぽく言えるので、家を買わせたい業者は購入説をいくらでも主張できます(特に老後だとか健康だとか、不安を煽るタイプの記事です)。また、すでに買った人は、自分の選択の誤りを簡単には認められないため購入説を支持します。仲間が増えれば安心だからみんなにも買わせたい、という自主性のない哀れな人もいます。

「マイホーム」は儲かる(業者が)

一方で、良心的な分析を行って賃貸を支持する主張も当然存在します。むしろこちらが自然な論理ですので、商業的なインセンティブと対抗して存在することになります。

しかし、通常であれば、いつまでも商業的なキャンペーンが続くことはありません。

買う理由を求める人

なぜ非合理的な商業キャンペーンが生き残り続けるのか。それは、賃貸が有利であるという正解は、読者の悩みを解決しないからです。

つまり、購入と賃貸で心底迷っているという人は非常に少なくて、実際は「買いたいけど背中を押してほしい」人ばかりだからです。その人達は、賃貸が有利という説明を読んでも、「いや、持ち家が有利なはずだ」と、自分の好むストーリーを探し続けるのです。

実際、僕も知り合いや職場の人から、「家を買うべきか」と相談されることがあります。もちろん、常に「買うな」と答えるわけですが、いまのところ例外なく全員が買っています。僕が信用されていないだけかもしれませんが😭

問いの立て方がズレているのです。本当の質問は「なぜ買いたいのか」です。そしてその答えは、あなた自身の中にあります。

「買いたい」欲求を分析しよう

「なぜ買いたいのか」を考えましょう。結局のところ、損得は個人の感情で判断されます。お金をいくら持っていても幸せにならなければ意味がありません。

ただ、経済的合理性ではなくて、趣味で買ったということをしっかり認識する必要があります。趣味で不相応の買ったのだったら、その後「資産」だとかはいっさい口にしないことです。

さて、あらためて経済的なもの以外で買いたい理由を考えてみると、どうでしょうか?

  • みんなが買っている
  • 借り物より所有したい
  • 賃貸よりいい家に住める
  • リフォームできる

だいたいこんなところでしょうか。あまり思い浮かばなかったという方も多いと思います。それは、趣味として割り切るほどの思いはないということです。だから理由付けで、「経済的に有利である」という言説を必死で探しているのです。

大して好きでもない趣味を欺瞞の経済価値で覆い隠して、お金と幸福の両方を失うことはやめましょう。せめて胸を張って家が好きと言って、採算度外視で幸せな家を買ってください

趣味で買おう

ありがとうございました。

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