おはようございます。本の紹介です。
FIRE(経済的独立、早期退職)の本はいくつかあるなかで、最初にこちらを紹介します。
![]() | FIRE 最強の早期リタイア術最速でお金から自由になれる究極メソッド【電子書籍】[ クリスティー・シェン ] 価格:1,584円 |

概要だけわかればいいという方は、「内容」の部分だけ読んでください。
内容: 中国出身の女性がお金を貯め30代で早期退職した軌跡と方法論
サブタイトルは方法論を強調していますが、この本は次の2つの内容です。
・著者の人生の軌跡
・FIREを実現するための教訓・理論
この2つがバラバラに語られるのではなく、巧妙に織り交ぜられながら進んでいくことで、非常にリアルで説得力のある構成になっています。
あえてこの2つを要約として分離して列挙すると次のとおりです。
【著者の人生の軌跡】
- 中国で貧しい家庭で育ち、お金の価値を痛感した。
- 父親のカナダに移住したが、苦しい生活は続いた。
- 大学の専攻は、期待年収を基準にコンピュータ・エンジニアリングを選んだ。
- 結婚しエンジニアとして働き生活は改善された。
- 勤め先の方針転換で職場環境が悪化し、危機感から始めた事業もうまく行かない。
- 共働きでためたお金があれば、あと数年で自由が買えることに気がついた。
- 退職後の資産プランの研究を繰り返した。
- ミリオネアになり、ついに31歳で退職した。
- 旅行をすることで生活費をさげつつ、長年の夢だった作家として活動している。

【FIREを実現するための教訓・理論】
- 欠乏マインドによる創意工夫とたくましさ
- キャリア選択の損益計算(夢追いのリスク)
- ローンと複利を敵に回す恐ろしさ、マイホームの損失
- 幸福感と節約の非直線性
- インデックス投資の有効性と「プロ」の金融商品の欺瞞
- 現代ポートフォリオ理論と危機の乗り越え方
- 4%ルールとフリーダムマインド
- 多くのバックアップ手法
箇条書きにしてしまうと上記のとおりです。
しかし、繰り返しですが、この本の最も優れている点は、ただの自伝でも理論書でもなく、その両方を絶妙なタイミングで織り交ぜている点です。ぜひ実際に全文を読んでみてください。
使い方: ゴール設定と必要な具体的手法、そして強い動機づけ
この本の使い方は、まずはゴール設定を行うことです(フリーダムマインド)。若くして退職し、自由に生きるという素晴らしい人生の目標を与えてくれます。
また、ゴールを目指すための具体的な手法が、極めてわかりやすく、順を追って説明されています。全部がわからなくても、わかるところやいま身近にある問題に当てはめていくことからでも、始めることができます。

そして、非常に前向きでたくましく、また人間的な著者の姿は、読者を強く勇気づけます。ゴールを設定して歩き出す最初の一歩はもちろん、つまづいたりマンネリ化してきたときにも読み返すことで、著者の人生に重ねてもう一度がんばるきっかけになると思います。
すごくいい点: 徹底した心配性
この本の良いところは、とてもエネルギッシュで前向きでありながら、同時に、著者は非常に心配性でもあるということです。多くの人が早期退職にあたって、心配するであろう点があらかじめ挙げられており、それに対するバックアッププランや、より手が出やすい代替プランも用意されています。
- 「インフレ、保険も恐るるに足らず」
- 現金クッション、利回りシールド(現金不足にそなえる高利回り活用)
- 地理的アービトラージ(物価のやすい国で生活費を下げること)
- サイドFIRE、パーシャルFI(パートタイムや好きな仕事を並行すること)
非常に柔軟な考え方で、最初の一歩を踏み出しやすくなっています。
また、著者は子どもをもっていませんが、読者の多くが気にするであろう子どもにかかる費用についても説明を避けていません。
子を持つ親にとって、子どものいない人から子育てのアドバイスを受けることほどイラつくことがないのは重々承知しています。
クリスティー・シェン; ブライス・リャン. FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド ダイヤモンド社.
僕がもっとも気に入っている一節です😄
著者の率直で諦めない性格がよくあらわれています。こういいながら、この章では、実際に子育てをしつつ早期退職をした例から非常に具体的な説明をしています。
注意点: 条件の違いを把握し自分のものにしていく意志
一方で、著者と読者は前提条件が大きく異なることも、もちろん念頭に置かなければいけません。だからといって、この本の有効性は少しも損なわれません。自分次第です。
日本人にとっては、著者が中国出身でカナダで学位を得てエンジニアとして働いてきた、というだけで遠い話のように思えるかもしれません。また、夫婦共働きで、12万ドル以上の年収を得ているというのも、「自分とは違う」と思わせる要素かもしれません。

そもそも、こんなエネルギーが、ない
この本に書かれている早期退職には憧れながら、しかし「自分とは違う」「自分には無理だ」要素を見て、どこか少し安心していませんか?そうだとしたら、「やらない理由を探す」思考に陥っている証拠です。
たしかに自分とは違う有利な点もあったと思います。しかし、医療廃棄物の山を漁っていたという中国時代の貧困は、おそらく多くの読者よりも不利な要素だったはずです。著者はそこから欠乏マインドという大きな強みを得て後の成功につなげているのです。
そう言うと、また、反論が聞こえてきそうです。

そうは言っても、カナダに移住できるチャンスがあったからじゃないか
いいかげんにしましょう。あらゆる点であなたと同じ条件のロールモデルなどありえないのですから、細かい相違点を切り抜けば、やらない理由はいくらでも考えつきます。
もし、「あなたよりすべての点で不利な条件での成功談」だったり、「絶対に安心な方法論」を求めているのだとしたら、あなたは詐欺師の絶好のカモです。
相違点や不利な状況はあります。その中から自分の武器を探して育てて、自分流にアレンジして、できる方法を探しましょう。この本は、そこにも十分に配慮がされています。自身の経験による教訓を、難解にならない要注意しながら一般化し、また、自分とは違う条件の場合もシミュレーションし希望を示しています。
ぜひみなさんに読んでいただきたい本です。
少し長くなりました。最後までありがとうございました。
コメント
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[…] 詳しく解説しているものはたくさんありますので、ここでは詳しくは立ち入りません。先日紹介した『FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド』でも、「家は最悪の投資」と非常に具体的に説明されています。 […]
[…] ブライス・リャン. FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド (Kindle の位置No.2485-2486). ダイヤモンド社. Kindle […]
[…] もしかしたら、自分で勉強して早期リタイアプラン専門のFPになれば、需要があるのではないかとも思っています。FIREを達成したこちらの書籍の著者のもとには、読者からリタイアプランに関するたくさんの相談が来ているそうです。資格を取ればブログの権威性もあがってアクセスアップも期待できますね😄 […]
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