東京証券取引所で全銘柄の取引が9時から停止しています。
過去の障害の例や、個人投資家への影響について解説します。
全銘柄の売買停止
東京証券取引所は「相場情報の配信に障害」が発生し、本日10月1日は午前9時の取引開始から全銘柄の売買が停止されています。午前11時30分現在、復旧の目処は立っていません。
過去の証券取引所のシステム障害
東証は、過去にも何度もシステム障害を起こしています。
- 2005年11月1日 プログラム破損により午前中の取引停止
- 2006年1月18日 ライブドアショックの大量注文により一時全面停止
- 2012年2月2日 「人為ミス」により一部銘柄の午前中の取引停止
- 2018年10月9日 証券会社の電文誤送信により一部会社からの注文が一時停止
- 2020年10月1日 【今回】全面停止
今回の規模の障害は2005年以来といえそうです。この間もシステム更新は何度も行われていて、直近の現物売買システムは、2019年11月5日にバージョンアップされています。

システム障害は、東証だけではなく、海外の取引所でも当然ながら多く発生しています。下記は楽天証券のサイトで、楽天証券自身の障害だけではなく、外部要因でも影響があった障害が記録されています。


ある程度は避けられないものとして、10年に1回はそういうことがあると想定しておくしかなさそうです。
個人投資家への影響
一時的なトラブルで収束するのであれば、基本的には長期投資家への影響はほとんどありません。
短期でぎりぎりの資金を回している場合には、流動性がなくなって換金できずに、重大な事態になる可能性もあります。しかし、これはやり方が悪すぎます。今回のことがなくても、いずれ窮地に陥るのではないかと思います。
短期的には反発の機会を失うリスク?
前日の米国市場が大きく反発していたため、日本市場も値上がりが予想されていました(先物やPTSでは値上がりしています)。本日発表の日銀短観は、2年9ヶ月ぶりに改善したという材料も入っています。
しかし、障害によって買い注文が処理されないと、値動きの印象としては悪くなります。とくに昨日9月30日の日本株は大きく下落したので、本来はあるはずだった今日の反発の機会が奪われたまま、新しい悪材料が出てしまうと苦しくなる投資家もいそうです。

長期的には信頼性の問題
安心して取引ができない市場では、投資家を集めることはできません。コロナ禍で、日本のデジタル化が遅れていることが露呈したところ、このようなことが立て続けに起こると、日本の技術への信頼が損なわれる要素になります。
菅政権には、今回の危機感を大いに利用することで抵抗を排除して、デジタル化を強力に進めていただきたいです。
もし問題が長期化・大規模化した場合のチャンス
今の段階ではまったくわかりませんが、大きな問題の端緒であるという可能性もあります。復旧が当日中に終わらなかったり、復旧してもすぐに障害が再発するような場合です。
こうなった場合、大変なことになります。取引機会が極端に制限される中でのパニックというのは、あまり経験がないことだと思います。「売りたくても売れない」焦りで暴落に拍車がかかると、これは絶好の買いのチャンスになるかもしれません。
時間がかかってもいずれはシステムは復旧します。金融機関等は直接のダメージがあるかもしれませんが、それ以外の業種の企業価値自体は、取引所が停止してても直ちに影響がないからです。ベストシナリオかもしれません😏
すべての記事で同様ですが、個人的な見解ですので、投資判断は自己責任でお願いします。
ありがとうございました。